ノンフィクション映像

2021年の暮れ、YouTubeのビデオシリーズを企画することになりました。当時はコロナ禍の真っ只中にあり、国外へ旅行ができない状況。そこで考えたのが「未知のものとの出会い＝好奇心を満たすこと」をつくりたいと考えました。そこで考えたのが、「東京の小さな部屋を探検しに行く」という企画。あなたが見たこともない隣人の部屋こそが、この地球上で誰も足を踏み入れたことのない場所かもしれない。かつてのアマゾンのように。東京の小さな個性的な部屋こそが私たち人類にとってのフロンティアであり、小さな宇宙なのだ、と。番組のコンセプトは、「EXPLORE TINY UNIVERSE」。知的好奇心の強いタレントが小さな部屋を訪れ、住人のライフスタイルをインタビューで紐解くシリーズにしました。

タレントと部屋探しが終わったら、台本作成のためにディレクターたちと事前取材。番組のストーリーを作っていきます。と同時に、撮影監督を交えて撮影手法のディスカッション。類似企画との差別化がポイントです。「タレントに小型カメラを持ってもらう」「360度カメラで部屋をダイナミックに見せる」など考案したけれど、「まだ、何かが足りない」。でも、撮影まで時間は残りわずか。すると、撮影監督とディレクターが同時に提案をしました。「タレントだけで部屋を”探索”する時間を作れないか？」私の頭の中で、番組のストーリーが一気に上書きされていきます。住人は外に出てもらい、タレントがひとりで無人の家を探索し、様々なものを発見していく。良きところで住人が現れ、インタビューをする。「小宇宙を探索しよう」というコンセプトをチームが体現しようとしたからこそ生まれた個性的な切り口でした。

レポーターではなく「探索者である」ということを、俳優・斎藤工さんに伝えると、その役に徹し、好奇心の赴くまま探索を楽しんでくださいました。コンセプトを体現する切り口によって、役割が明確になったのです。「TINY ROOM UNIVERSE」は「GQ JAPAN」 YouTubeチャンネルで４エピソードをリリース。国外からの視聴者も獲得し、シリーズ継続の目標値であるエピソード平均10万再生以上を達成。シーズン2を制作することになりました。個性的な切り口によって生まれた番組のテイストが、多くのファンを獲得する足掛かりとなるのです。