インタビュー

ドキュメンタリーを含め、ノンフィクション映像というジャンルにおいて、その土台をなすのはインタビューです。より抽象化して捉えるならば、わたしたちが会社や家庭で同僚・家族・仲間と交わしている会話自体がインタビュー。さらに抽象度を上げると、社会生活を行っていく上で誰かに質問し、意見を求め、または誰かの要望に応じて返答することがインタビューです。交渉であり、面接であり、アドバイスでもあります。あなたも毎日誰かにインタビューし、されている。そのためインタビューという映像手法は、オーディエンスが、被写体が話していること-語りかけていること-を「自分ごと」として捉えやすい点にあります。

インタビューや対談の企画が上がった時に、必ずこう問いかけます。「そのインタビューは対談は映像である必要があるのか？」と。映像制作は他の表現手法より費用が嵩みます。文章でも事足りるのでは？ポッドキャストの方がいいのではないか？他の表現手法に代替される余地があるならば、それは映像である必要がないことを意味します。例えば料理の作り方。文章ではレシピを提供できます。鮮やかな出来上がりの写真で作ってみたいという気持ちにさせられるかも。ポッドキャストだったら、作っている音などで臨場感を生み出せられるかもしれない。映像だったら？映像であれば、料理教室の設定で行ってみる、とか。先生が、カメラに向かってオーディエンスに語りかける。「美味しい」「失敗した」「難しい」と思う感情は、言葉と同時に表情で伝わります。何より文章より、音声のみより、個性的なストーリーとして視聴者に料理を学ぶ楽しさを伝えることができます。

映像でインタビューを使う場合に必要なものは、映像である必然性を企画（仕掛け・設定）で生み出すこと。話していることに深みやユニークさを持たせることが、オーディエンスが「見ること」につながります。特にSNSやYouTubeではオーディエンスは「聞きたい」「読みたい」のではなく「見たい」から、そのプラットフォームを訪れます。具体的にどのように話すことから見ることへ変換するのか。そのポイントこそがインタビュー映像を企画する醍醐味です。